ITツールの中でも、顧客情報を活用して営業力を高められるCRMツールは、企業の存続や成長を左右する重要なツールです。
しかし、その運用の難しさやコスト負担の大きさから、中小企業ではなかなか導入が進まないのが現状です。また、導入したが使いこなせずに社内に定着しないという失敗例も少なくありません。
そこでこの記事では、定着率の良さが評価されている「Zoho CRM」と「HubSpot」のコストと使いやすさを比較して、どのような企業に向いているかを分かりやすく解説しています。
ビジネスの効率化と成果最大化に向けて最適なCRMツールを選択するためにぜひ参考にしてください。
HubSpotとZohoはどんな企業?
HubSpot社は米国マサチューセッツ州に本社を置くグローバルIT企業で、2005年にCRMプラットフォームHubSpotをローンチしました。日本法人(HubSpot Japan株式会社)は2016年に設立されました。
Zoho社はインド南部に本社を置くグローバルIT企業で1996年にZoho CRMの提供を開始し

ました。日本法人(ゾーホージャパン株式会社)は2001年設立です。
120カ国で使用される「HubSpot」
HubSpotは世界120か国、18万4,000社で使用され、日本では株式会社ディー・エヌ・エー、株式会社マネーフォワードといった急成長をしたITベンチャー企業などが導入しています。
HubSpotはハブ(車軸)の名称どおり、無料のCRMであるHubSpotを中軸に5つの有料ソフトウェアで構成されています。
中核となるHubSpot CRMを導入した企業は、より高度な機能の必要に応じて以下の5つのシステムを導入します。
- マーケティング
- セールス
- カスタマーサービス
- コンテンツ制作
- データ同期
したがって、HubSpotはコスト面でも機能面でもスモールスタートが可能で、企業の成長に合わせて拡張できるのが特徴です。
世界25万社以上が導入「Zoho CRM」
Zoho CRMは世界で25万社以上が導入し、1億人超のユーザーがいるCRM(顧客管理)ツールです。
SFA(営業支援)ツールおよびMA(マーケティングオートメーション)ツールとしても使える機能を備えています。
Zoho CRMの特徴は、中小企業で使いやすいツールをコンセプトに開発されたことです。
ゾーホージャパン株式会社は、Zoho CRMが日本の中小企業に選ばれる理由として下記の3つをあげています。
- 低コストで導入可能
- 導入後の定着率が高い
- 操作が簡単で営業担当が直接CRMにデータ入力できる
日本の全企業数の99.7%(参考:中小企業庁)を占める中小企業にとって、Zoho CRMは非常に使いやすいツールになっています。
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CRMツールの選択は人生のパートナー選びのようなもの。相手の良し悪しだけでなく自社との相性が大事です。
見込み客の育成や営業の効率化など会社の業績、将来を左右するツールなだけに、CRMツールは単純なシステムではありません。上手に付き合い、使いこなしていくには自社との相性が肝要なのです。
では、HubSpotとZoho CRMを以下の3つのポイントで比較します。
- 製品コンセプトや想定されいてる業務の違い
- 自社の社員のITリテラシーとの相性
- コスト・費用面
各項目で気をつけるべきことを詳しくみてみましょう。
1.製品コンセプトや想定されいてる業務の違い
HubspotとZohoは製品コンセプトや想定されている業務に違いがあります。自社の業務や使うユーザー層がどちらに合致しているのか?を深く検討した上で、製品選定を行う必要があります。
Hubspotのコンセプト
オンライン中心のマーケティング・顧客接点の拡大を行う企業向けに、主に受注までのプロセスの最適化や効率化を支援する
Zohoのコンセプト
旧来型の営業(オフライン営業)も含めて、マーケティングから受注以降の事務作業(見積書や請求書、販売管理まで)の最適化・効率化を支援する
上記に示した通り、Hubspotは主にオンラインでの顧客接点を軸に、機能設計されており、使う側としてもオンラインでの入力や編集に長けた方がユーザー層として想定されているように思われます。インバウンドマーケティングを行うためのCMS機能を入り口として、ウェブチャット機能が標準だったりと、オンラインでのリード獲得・ナーチャリングを行うことが想定されています。業務カバー範囲としては、マーケティング業務のほうに比重が置かれており、日本特有の販売管理(請求や在庫管理)についてはカスタマイズを行ったとしてもカバーするのが難しいため、別のサービスを利用する必要があると思わます。
いっぽうで、ZohoについてはHubspotのようなリード獲得やナーチャリングを行うことも、ZohoのCRM以外のアプリケーションを利用すればできるのですが、メインであるZohoCRMではそのようなマーケティングアクティビティは想定されていません。あくまでもリード(見込み客)獲得後の営業接点の記録と商談フェーズの管理に重きが置かれています。また、Hubspotと大きく違う点としては、「受注後の販売管理業務への拡張性がある」ということです。カスタマイズの鍵になる、カスタマイズ用のデータの管理方法が、Hubspotのチケットと比較してZohoの各種タブはより高機能であるSalesforceのオブジェクトに近く、カスタマイズの汎用性が非常に高いです。このため、個別業務特化になりがちな受注後の業務プロセスまで含めてCRM内で一元実装できるのが特徴です。
このように、Hubspotではオンラインマーケティングから受注までのプロセスを最適化する、Zohoでは見込み客情報から販売管理まで最適化するといったように、最適な適用範囲が違うことをまずご理解いただければと思います。
2.自社の社員のITリテラシーとの相性(操作性や画面の利用しやすさ)
どのツールもユーザーフレンドリーなインターフェースをアピールしますが、操作画面の使いやすさやわかりやすさはユーザーによって異なります。
たとえば、社員がITツールに慣れていない場合は、ドラッグ&ドロップで操作できたとしても表示項目が多ければわかりにくいインターフェースといわれるでしょう。画面の説明や操作性が多少悪くても、社員がITツールに詳しければ使いやすいツールとなる可能性があります。
このように対象となるユーザーによって使いやすさは変わります。そして、**中小企業にとっての使いやすさをコンセプトに開発されたのが「Zoho CRM」**です。中小企業で働く人材は多様で必ずしもITに強い人やツールに使い慣れている人ばかりとは限りません。そのような方でもZohoは比較的使いやすいツールであると思います。いっぽうで、若手が多い・ITリテラシーの高い若い会社やベンチャー企業はHubspotに向いていると言えます。
中小企業でCRMを社内に定着させ、活用するためには、初心者でも遅滞なく最新データを入力できる操作画面のわかりやすさがなによりも重要です。データ入力が遅延して情報間にタイムラグが生じると「リアルタイムでデータを共有できる」というCRMの価値が半減してしまいます。
もちろんHubSpotのUIが操作画面がユーザーフレンドリーでないという訳ではありませんが、初心者やITがそこまで得意ではない人にとってのわかりやすさではZoho CRMに軍配が上がると考えています。
3.コスト・費用面
CRMツールを導入するに当たり、コスト・費用は非常に重要な選定ポイントになります。基本的にサブスクリプションであるため、ここで選定したツールの費用をツールを利用する限り払い続ける必要があるためです。
コストを考えるにあたり、HubspotとZohoの料金体系の違いについて解説しておきましょう。
HubSpotの料金体型の特徴
- Sales Hub(CRM)・Marketing Hub(マーケツール)などのよくある担当者の業務範囲レベルで利用プランが別れている
- Sales Hubは無料プラン・Starter・Professional・Enterprise
- 「シート」単位の課金(以前の「1契約の基本料金+ユーザー従量課金」から変更されています)
- Professional以上は、月額とは別に**必須の導入支援費用(1回限り)**がかかる
Sales Hubの料金は以下の通りです(2026年7月時点・税別)。
| プラン | 月額(1シート) | 年間契約時 | 必須の導入支援費(1回限り) |
|---|---|---|---|
| 無料 | 0円(2ユーザーまで) | — | — |
| Starter | 1,200円 | 840円 | — |
| Professional | 12,000円 | 10,800円 | 180,000円 |
| Enterprise | — | 18,000円 | 420,000円 |
まず、無料プランがあることとStarterプランが非常に安価であることから、小さい規模で利用を始めることについては非常にハードルが低く設定されております。一方である程度利用が促進してきて組織全体に定着させたり、カスタマイズを施すためにプロフェッショナルプラン以上の契約となると、それなりに高額になるのがきになるところです。
特に見落としやすいのが導入支援費用です。Professional以上では月額とは別に1回限りの導入支援費が必須で、Professionalで18万円、Enterpriseで42万円かかります。月額だけで比較すると想定を外すため、初年度の総額で見ておく必要があります。契約時にStarterだったとしても、活用が進んでProfessionalになる場合の費用を想定して検討すべきかと思います。特にZohoでもよく利用される自動化のカスタマイズを使おうとするとProfessionalプランが最適なようですので注意が必要です。
なお、Starterの価格は値引き適用後の金額です。料金体系は改定されるため、最新の金額は必ず公式ページでご確認ください。
Zohoの料金体型の特徴
-
ZohoCRM(CRM)・ZohoCampaign(メール配信)・SalesIQ(Webトラッキング)・Forms(フォーム作成)などの機能別にツールが別れている
-
※ある程度組み合わせが必要になる
-
無料プラン・スタンダード・プロフェッショナル・エンタープライズ・アルティメット ※CRM
-
1ユーザーあたりの従量課金 ※CRM
次に、ZohoCRMについてです。基本となるCRM以外にもZohoでは様々なアプリケーションが提供されており、それをCRMとデータ連携して利用することが基本になります。よって、Hubspotよりも組み合わせるアプリが多くなる場合が多いです。Hubspotと同じく無料プランも提供されていますが、基本的にトライアルプランとしての位置づけとなっており、以下のような軸でプランを選定することになります。
CRMとしての基本機能のみ利用ならスタンダード
見積書や請求書などの帳票も利用するならプロフェッショナル
カスタマイズや自動化を組み込むならエンタープライズ
という選定になります。(アルティメットはよほどの要件ではい限り選択しないのでこちらでは割愛します)
Zoho CRMの料金は以下の通りです(2026年7月時点・年間契約の月額換算・税別)。
| プラン | 月額(1ユーザー) |
|---|---|
| スタンダード | 1,760円 |
| プロフェッショナル | 3,260円 |
| エンタープライズ | 5,660円 |
| アルティメット | 7,360円 |
最も導入が多いエンタープライズで月額5,660円/ユーザーですので、HubSpotのProfessional(年間契約で10,800円/シート)と比較すると約半額です。加えてZoho CRMには必須の導入支援費用がないため、初年度の総額ではさらに差が開きます。

中小企業のCRM導入では、国や県などが実施する補助金を活用することでコスト負担を軽減することが可能です。ZohoCRMでもIT導入補助金の利用で半額以下で導入可能です。コスト削減シミュレーションやデモも可能ですのでぜひ紹介ページをご覧ください。
自社に最適なCRMツールはどっち?
HubSpotとZoho CRMのどちらのツールが自社に最適かは、前述したようにお互いの相性で決まります。
担当者に専門的なIT知識がない中小企業ならZoho CRMが使いやすく、定着がし易いのではないでしょうか。
いっぽうでITリテラシーの高いベンチャー企業では、スモールスタートで必要になるHubを導入、構築し、使いこなしていくHubSpotが適しています。
ITリテラシーに少し不安がある中小企業ならコスパが高い「Zoho CRM」がおすすめ
Zoho CRMはCRM、MA、SFAとして十分な機能が使えるエンタープライズプランを導入しても、前述のようにHubSpotの約1/2〜1/3の料金で利用することが可能です。導入支援費用が別途必須ではない点も、初年度の負担を抑えられる要因です。
HubSpotに比べて自由な構築性や拡張性は劣るかもしれませんが、中小企業ではそれがかえって使いにくさにつながることもあります。
ITに詳しくない担当者にも使いこなせて、ツールの利用が社内に定着することが第一と考える企業にはZoho CRMがおすすめです。
ITリテラシーの高いベンチャー企業なら「HubSpot」が使いやすい
無料のCRMを中核として自由にシステムを構築できるHubSpotは、ITに強い社員が集まったスタートアップ企業やベンチャー企業に向いています。ITに強い個人事業主もリーズナブルな利用が可能です。
しかし、企業としてマーケティングHubやセールスHubを本格的に利用するためにプロフェッショナルプランを導入すると、一気にコストがアップしてしまうハードルがあります。
自社に合ったCRMを使いこなして営業力・競争力を向上させよう

Zoho CRMとHubSpotのコストと使いやすさを比較すると、ITシステムに慣れていない中小企業にはZoho CRMがおすすめです。
CRMを社内に定着させて業績のアップのために活用するには、自社が使いこなせるツールを選択することがもっとも重要になります。
そして、もう1つ重要なことがあります。それは、導入と運用をサポートする支援業者をパートナーとして、課題を一つひとつクリアしていくことです。
CRMは導入すれば使えるというツールではなく、IT企業でない限りCRMを自社だけで導入して使いこなすことは難しいです。そのため、コストに見合う成果を得るには支援業者の伴走をおすすめしています。
ZohoとHubSpotのどちらが自社に最適なのか詳しく比較したい場合は、お気軽にご相談ください。当社はZoho認定パートナーとして、業務プロセスの分析からツール選定・実装までを支援するZoho導入支援・コンサルティングサービスと、導入後の活用伴走支援サービスを提供しています。
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HubSpotとZoho CRM、中小企業にはどちらが向いていますか?
ITツールに詳しい担当者が社内に多くない中小企業には、Zoho CRMが向いていると考えています。中小企業にとっての使いやすさをコンセプトに開発されており、初心者でも遅滞なくデータを入力できる操作画面のわかりやすさが、社内定着の鍵になるためです。一方で、若手中心でITリテラシーの高いベンチャー企業やスタートアップには、無料CRMを中核に必要なHubだけを足していけるHubSpotが適しています。
料金はどちらが安いですか?
料金体系の設計が異なるため、比較する前提を揃える必要があります。HubSpotは無料プランと安価なStarterがあり、始めるハードルは低い一方、自動化やカスタマイズを本格的に使うProfessional以上ではシート単価が上がり(年間契約で月額10,800円/シート)、さらに必須の導入支援費が1回限りで18万円かかります。Zoho CRMは最も選ばれるエンタープライズで月額5,660円/ユーザー、導入支援費の必須負担もないため、初年度の総額では差が大きくなります(いずれも2026年7月時点・税別)。料金は改定されるため、最新の金額は必ずHubSpot公式・Zoho公式の料金ページでご確認ください。
Zoho CRMが向いていないのはどんなケースですか?
オンライン中心のインバウンドマーケティングを主戦場にしたい場合です。Zoho CRM単体ではリード獲得やナーチャリングといったマーケティング活動は想定されておらず、Zoho Campaigns(メール配信)やSalesIQ(Webトラッキング)など複数のアプリを組み合わせる前提になります。組み合わせの設計を避けたい場合や、自由な構築性・拡張性を最優先する場合はHubSpotのほうが素直です。
受注後の請求や在庫などの販売管理業務もCRMでカバーできますか?
Zoho CRMは受注後の販売管理業務への拡張性がある点が大きな違いです。カスタマイズ用のデータ管理の仕組み(各種タブ)が汎用性の高い構造になっているため、個別業務になりがちな受注後のプロセスまでCRM内に一元実装しやすくなっています。HubSpotは日本特有の販売管理(請求や在庫管理)まではカスタマイズでもカバーが難しく、別サービスの併用が必要になると考えられます。
導入すればすぐ使えるようになりますか?
CRMは導入すれば使えるようになるツールではありません。IT企業でない限り、自社だけで導入して使いこなすのは難しいのが実情で、コストに見合う成果を得るには支援業者の伴走をおすすめしています。当社はZoho認定パートナーとして、業務プロセスの分析からツール選定・実装、導入後の活用伴走までを支援しています。




