2025-11-22

ZohoCRMのメール構文解析×関数の活用法

目次

【一歩進んだ使い方】Zoho CRMメール構文解析 + カスタム関数で、1通のメールから2種類のデータを自動生成・関連付け!

Zoho CRMをお使いの皆様、日々の業務お疲れ様です。 Webサイトからの問い合わせメールや、パートナー企業からの新規案件メールなど、決まったフォーマットのメールを受信する機会は多いかと思います。

その際、Zoho CRMの「メール構文解析(メールパーサー)」機能は非常に強力な味方です。メール本文から必要な情報を自動で抽出し、CRMのデータレコード(見込み客や連絡先など)を自動生成してくれます。

しかし、この標準機能を使っていると、こんな「壁」に直面しませんか?

「問い合わせメールに『お客様の情報』と『具体的な商談(案件)の情報』が両方書かれているのに、メール構文解析では『見込み客』か『商談』のどちらか1種類のレコードしか自動生成できない...」

「結局、2つ目のレコード(例えば『商談』)は手動で作成して、後から関連付けし直している。この手間が意外と面倒だ...」

そのお悩み、非常によくわかります。 もし、1通のメールから「顧客データ」と「商談データ」の2種類を自動で生成し、さらにそれらを「関連付け」まで完了できたら、データ入力の手間はゼロに近づくはずです。

実は、Zoho CRMの「メール構文解析」と「カスタム関数(Deluge)」を組み合わせることで、この理想的な自動化を実現することが可能です。

この記事では、メール構文解析の標準機能から一歩進み、1通のメールから2種類の関連データを自動生成する、実践的な活用方法を解説します。

1. Zoho CRM「メール構文解析」の基本的な機能(おさらい)

まず、標準のメール構文解析機能について簡単におさらいします。

この機能は、あらかじめ設定した「構文解析テンプレート」に基づき、受信したメールの本文から特定のテキスト(例:「会社名:」「お名前:」「お問い合わせ内容:」など)を識別し、その内容をZoho CRMの特定の項目(フィールド)に自動でマッピング(割り当て)して、1つのデータレコードを生成する機能です。

ZohoCRMのメール構文解析

これは非常に便利ですが、前述の通り、あくまで「1通のメール → 1種類のレコード」が基本となります。

2. なぜ「1メール → 2レコード」が必要なのか?

例えば、以下のようなWebサイトからの問い合わせメールを考えてみましょう。

メール例:

件名:新規導入のご相談

[お客様情報] 会社名:株式会社サンプル ご担当者様名:鈴木 太郎 メールアドレス:suzuki@sample.com

[ご相談内容] 希望製品:〇〇システム 導入予定時期:3ヶ月以内 詳細:既存システムの入れ替えを検討しており、 〇〇システムの見積もりが欲しい。

メール例 ここまで:

この1通のメールには、

  1. 「株式会社サンプル」という『顧客(取引先)』の情報
  2. 「〇〇システム導入」という『商談(案件)』の情報

という、本来は別々に管理すべき2種類の情報が含まれています。

標準機能では、このメールから「株式会社サンプル」という『取引先』レコードを1つ作ることはできますが、同時に「〇〇システム導入」という『商談』レコードを自動生成し、さらに今作った『取引先』に関連付けることはできません。

この「2つ目のレコード作成」と「関連付け」という手作業が、日々の業務の中で見えないコストとしてのしかかってきます。

3. 【本題】カスタム関数で実現!1メール → 2レコード自動生成&関連付け

この課題を解決するのが「カスタム関数(Delugeスクリプト)」です。

メール構文解析の設定(構文解析ルールの実行後)とワークフロールールを組み合わせ、カスタム関数を連携させることで、以下のような高度な自動処理フローを構築できます。

自動化の処理フロー(概念)

  1. メール受信 問い合わせメールがZoho CRMの指定したメールアドレスに届きます。

  1. メール構文解析の実行(1つ目のレコード生成) まず、標準のメール構文解析が実行されます。 ここでは、メール本文から情報を抽出し、1つ目のレコード(例:『商談』)を自動生成します。このとき、商談情報だけでなく、顧客情報(会社名、担当者名など)も一旦『商談』レコードのカスタム項目や「説明」項目などにすべて取り込んでおきます。

  1. カスタム関数のトリガー 『商談』レコードが「メール構文解析によって」作成されたことをトリガーとして、あらかじめ設定しておいたワークフロールールが起動し、カスタム関数が実行されます。

  1. カスタム関数による処理(2つ目のレコード生成と関連付け) 起動したカスタム関数(Delugeスクリプト)が、以下の処理を瞬時に実行します。

  • (a) まず、トリガーとなった『商談』レコード(手順2で作成)から、顧客情報(会社名、担当者名など)を取得します。
  • (b) 取得した顧客情報(会社名)が、CRMにすでに『取引先』として存在するかどうかを検索します。
  • (c) (存在しない場合) zoho.crm.createRecord() を使い、新しい『取引先』レコードを自動生成します。(これが2つ目のレコード生成です)
  • (d) (存在する場合) 既存の『取引先』IDを取得します。
  • (e) 最後に、手順(c)または(d)で取得した『取引先』IDを使って、手順2で作成された『商談』レコードのルックアップ項目(「取引先名」)を更新します。

メール構文解析で2レコード生成して関連付け

4. この手法がもたらす絶大なユーザーメリット

この「メール構文解析 + カスタム関数」の連携が実現すると、ユーザーには以下の大きなメリットがもたらされます。

  • データ入力の完全自動化 従来の手作業(2つ目のレコード作成、関連付け)が一切不要になります。メールを受信するだけで、正しい『取引先』と『商談』が自動でCRMに蓄積されていきます。

  • データの整合性と精度の向上 手動での関連付け作業がなくなるため、「商談に取引先が紐付いていない」といったヒューマンエラーや関連付けの漏れを防ぐことができます。データが常に正しく関連付けられた状態で登録されるため、CRMデータの品質が劇的に向上します。

  • 応用範囲の広さ この仕組みは「取引先」と「商談」の組み合わせに限りません。

  • 1通のメールから「イベント参加者」と「所属企業」を生成・関連付け
  • 1通のメールから「問い合わせ(サポート案件)」と「担当者タスク」を生成・関連付け など、皆様の業務フローに合わせて柔軟に応用することが可能です。

まとめ

Zoho CRMの「メール構文解析」は、それ単体でも便利な機能です。しかし、そこに「カスタム関数」という強力な自動化の武器を組み合わせることで、標準機能の「1メール=1レコード」という枠を超え、業務の実態に即した高度な自動化を実現できます。

「メールからのデータ登録業務を、もっと効率化したい」 「手動での関連付け作業から解放されたい」

もし、そうお考えであれば、この「メール構文解析 + カスタム関数」の連携に関してお困りの際は是非一度当社にご相談ください!

(注:カスタム関数の具体的な実装には、Zohoの独自スクリプト言語「Deluge」の知識が必要となります。設定が難しい場合は、Zohoパートナーや専門家にご相談いただくことをお勧めします。)

本記事の監修

株式会社etika代表取締役 宮村佳祐

株式会社etika 代表取締役

宮村佳祐

https://www.crmsupportcenter.com/company-profile

サービス紹介資料ダウンロード

導入をご検討の方、詳しくは一度無料相談にてお気軽にご相談ください。
サービス内容についての資料もご用意しております。

DOWNLOAD
This is some text inside of a div block.
This is some text inside of a div block.