2022-08-24

ツールベンダーでは語れない! CRM・MA導入を成功させる本質的なポイント 前編:真面目な企業ほど陥りやすい部分最適の罠

目次

地方の中小企業におけるIT導入や活用コンサルティングを提供する株式会社etika(エティカ)CRMサポートセンターです!2022年7月8日、当社代表の宮村が「課題解決EXPO2022」に登壇しました。本イベントでは10年間SaaSベンダーで自社ツールの企画、開発、販売を経験した宮村が、お客さまのツール導入コンサルを通じて、いくらITツールを導入しても成果が出ない本質的な原因についてお話ししました。今、DXが声高に叫ばれる中、真面目にやろうとする企業や担当者ほど成果を出せないのはなぜか?

CRMやMAの導入検討をしている方、営業DXを考えている方には絶対に知っておいて欲しい!という思いからイベントでご紹介した内容を宮村の目線でブログにまとめてみました。

本記事のテーマと自己紹介

株式会社etika(エティカ)とは

株式会社etikaは2019年6月に山口県下関市にて創業しました。西日本、中でも福岡県でBtoBビジネスを展開している企業様を中心にITツールの導入を支援している会社です。

BtoBビジネスの営業プロセスにおいて、買い手側の情報収集はデジタルが一般的になり、売り手側も営業活動のデジタル化を進めなければなりません。弊社は『お客様とのつながりを”デジタル”でも』というテーマのもと、売り手側となる企業様ができるだけスムーズに営業活動をデジタル化し成功できる、営業DXを実現できるようお手伝いをしたいと思っています。

代表取締役 宮村のバックグラウンド

私(代表取締役・宮村)は4年前まで東京にある株式会社イノベーションというBtoBマーケティングの会社に在籍し、MAツール事業の立ち上げを担いました。0から企画・開発・営業組織を構築。1200社の導入実績を牽引し当時のMAツール市場において導入シェアNo.1(注釈つけるか確認)となり、同社のマザーズ上場に大きく貢献しました。

その後、妻の地元である山口県に移住し株式会社etikaを創業。過去の経験から地方企業のマーケティングや営業DX実現に役立てることを実感し、CRMやMAの導入実装支援の専門サービス「CRMサポートセンター」を立ち上げました。知見の深さや経験からのコンサルティングだけではなく、地方企業ならではの状況に寄り添いながら定着まで支援したいという思いから伴走型支援にこだわっています。

このセミナーで伝えたいこと

ベンダーにいた私がお客さまのITツール導入を支援させていただくにつれ、両者の見る景色の違いに気づきました。ベンダーとお客さまの景色の違い、その違いから分かったITツールを使っても成果が出ない理由、IT導入を成果につなげるポイントについて、実際の事例と私の経験を元に詳しくご紹介していきます。

SaaSベンダーとクライアントが見る景色の違い

SaaSベンダー側の状況

まず、SaaSベンダー側の営業、サポート状況について私が経験したお話を交えてご説明します。SaaSベンダーには「お客さまは個別業務において課題がある」という考えが前提としてあります。営業手法としては、自社のツールで解決できる業務課題を説明する、またはお客さまの全体像をヒアリングした上で改善案の一部として自社のツールを売り込むというのが定石でしょう。

重要なことは、SaaSベンダーにとって新規契約よりも導入後がキモであるということです。SaaSはほとんどがサブスクリプション型であるため、継続してもらわないと収支が成り立ちません。そこで、SaaSベンダーが重要指標と掲げているのが「継続率(リテンションレート)、解約率(チャーンレート)」「定着率」の2つです。「継続率、解約率」は言葉通りの意味で、「定着率」については各社独自の定義が定めているところが多いです。ちなみに、私は、定着率を”導入半年以内にどれだけ使ってもらえたか”をルール化して効果測定をしていました。解約率はお分かりいただけると思いますが、定着率はなぜ重要なのでしょうか。

ツールベンダーのKPIを説明する図

今お伝えしたこの2つの指標をもとに、お客さまにツールを活用いただくこと、そしてその運用を定着促進することをミッションとしているのがSaaSベンダーの「カスタマーサクセス(以下、CS)」と言われる人たちです。

実際に私のCSチームでは具体的に、

  • 名刺や見込み客をデータ化しましょう
  • 次は、メールで定期的に情報配信をしましょう
  • その次は、各施策の結果やお客さまの状況でスコアリングしましょう

など、MAを活用して成果を出してもらえるよう施策を段階ごとに整理してお客様に働きかけました。

CSがサポートを頑張れば、お客さまも頑張ってくれます。結果、それなりに成果もついてきてお客さまの満足度は高まり、CSもお役に立てて嬉しいという気持ちでさらに頑張ります。このように満足度が高まれば解約リスクが低下するため、一定まで成果を引き上げること、定着率を重要視しているのです。SaaSベンダーにとって、CSの活動だけでなく全ての戦略、戦術が「継続率(リテンションレート)、解約率(チャーンレート)」「定着率」の2つを中心に回っていると言っても過言ではありません。

誤解がないように補足しますが、ツールベンダーやCSのメンバーもお客さまの成果をあげようという気持ちは本物であり、一生懸命頑張っていることは間違いありません。ただし、「自分たちのツールを使って成果をあげてもらう」という前提があるのです。

 お客さま(導入者)の景色

SaaSツールを導入したお客さまの声として、「頑張ってるけど思うように成果が出ない」「逆に生産性下がってる」「現場が大変になった」というお話をよく耳にします。私のお客さま事例(A社)をあげながら具体的にご説明しましょう。

A社では営業DXの実現に向けて業務効率化を図り、フェーズ図の通り全てのプロセスにツールを導入しましたが、なぜか業務生産性が下がり困っているというお悩みがありました。

クライアント例を示す図

A社の担当者は非常に真面目で業務遂行能力が高い社員でした。個々の業務はデジタル化しているように見えますし、担当者は「CSさんが頑張ってサポートしてくれてるから自分も頑張ろう」「投資してくれた経営陣からの期待に応えよう」という気持ちで励んでいました。それなのに、生産性が逆に下がっている、その理由もわからない状況に陥りました。

このプロセスにおける本質的な問題点は次でお話ししますが、この担当者が追い込まれている理由は2つあります。

1つ目は、各ツールベンダーのCSが強力にサポートしてくれることです。各ツールベンダーのCSとは、自社のツールを使って円滑に業務を進めることを目標にしています。フロー図の通り、業務プロセスそれぞれに違うツールを使っていれば、その数だけのCSから「うちのツールはこう使ったほうがいい、これをやってください」と、サポートされるわけです。業務遂行能力の高い担当者であればあるほど、CSからプレッシャーを感じる状況にはまっていきます。

2つ目は経営陣の期待です。ツール導入、運用にはコストがかかります。経営陣としては会社の成長のためにDX(デジタルトランスフォーメーション)だ!と期待をかけて先行投資をしているのですから「ツールを導入したら成果は上がるよね?!」と期待しています。担当者はベンダーのCSたちからサポートされることで業務過多に陥いる上に、社内の経営陣からもプレッシャーをかけられていることで

  • IT化(業務課題をツールに置き換えることをIT化だと思い込んでしまっている)しているのだからこれが最善の策と思い込み、現場に疑問を持てない、またはより良い方法に気づけない
  • 今のフローに疑問を持っていても経営陣に言いにくい。

と、板挟みの状態になってしまいました。

担当者が経営者とサポートに板挟みになっている図

このような状況に置かれると、

担当者としては「IT導入ってめちゃくちゃ大変!」

経営陣は「コストはかかるのに成果は出ない。DXってだめなのでは?」

最終的には「DXは失敗だった、IT導入はもう当分しない」と、本質的な課題に気づくことなくダメだと判断して終わってしまうというケースはA社に限らず多々見受けられます。

両者の景色から見えた問題点とは?

A社の場合、見えてきた問題は大きく3つありました。

例の問題点

1、プロセス全体像の設計をしていない

業務プロセス全体像の設計をしていないことが最も大きな問題点です。欧米の企業では、経営陣が全体戦略を持ってトップダウンでITを導入するのに対して、日本の企業は一つの課題解決の策としてIT導入をしがちという傾向があります。

A社は全体設計をせず、個々の課題に対応するSaaSを導入することで業務をさらに煩雑にしてしまいました。メール配信はMAツールのCS、営業管理はCRMのCSと、自社ツール領域に徹底したCSから強力にサポートをされ続けることで、業務過多になった担当者は全体最適など考えられない状況になってしまうのです。

2、ツール連携が手動

A社の場合、個別業務の課題に対応するツールを考えて導入したため、ツール間のデータが自動連携できず、手動で転記作業を行っていました。これもありがちな問題です。「インポートやエクスポートができればいい」「手動で転記すればいい」と考えられる方が意外にまだ多くいます。

ツールが複数社のものにまたがってしまうことはあり得ますが、複数ツールを利用する場合は自動連携を前提に考えることが大切です。手動オペレーションが存在するプロセスを考えている時点でNGと思ってください。

3、個別業務「だけ」のIT化

真面目にツールを運用していればそれなりの数字が出て、データ上はうまく運用できているように見えてしまいます。しかし適正な投資だったかを見極めるためにも、生産性は向上しているのか?成果の見合いに対して全体コストは高まっていないか?という視点が必要です。

個別業務だけIT化をしてしまうと、先述した通りサポートが手厚く業務が煩雑になるというだけではなく、結果として全体的なコストが膨大にかかってしまい投資対効果が見合わないということは多いにあるのです。

真面目にやるほど陥る『部分最適の罠』

日本企業あるある

今お伝えした「個別の業務にフォーカスしてITツールで解決しようとする」「ツール連携をしない、またはそういう発想に及ばない」ことで、結果的に生産性が上がらず、全体最適できない企業は、残念ながら本当に多く見受けられます。この事象を私は『部分最適の罠』と呼んでいます。

では、今なぜこの『部分最適の罠』が頻発しているのか?私なりに考えた結果をお伝えします。

『部分最適の罠』にハマる理由は、SaaS!

やはりSaaSが増えてきたことが原因であると、私は考えています。今はあらゆる業務領域において、SaaSがあるといっても過言ではありません。SaaSが増えてきたことで起きているポジティブな面とネガティブな面をご説明します。

ポジティブな面

ポジティブな面を示す図

ポジティブな点、1つ目はなんといっても高額で高度なシステムのコストダウンです。SaaS誕生以前は高度なシステムが主流で、システム設計から構築、運用を踏まえると非常に高額になることから大企業向けのものと考えられていました。また、一度導入したら入れ替えも難しいため、導入リスクが高かったと言えます。しかしSaaSは誰でも手を出しやすいサブスクリプション型で低価格、低リスクで導入が可能なため、中小企業でも課題解決の手段としてシステム導入という選択肢が持てるようになりました。

2つ目はあらゆる領域にSaaSが進出してきたことです。既存のシステムでは置き換えが難しかった専門的な領域や業種特化型などのバーティカルSaaSも多く誕生してきたことで、一部に偏らずあらゆる企業がシステムの活用検討を進められるようになりました。DXの実現≒SaaSミックスの活用といっても過言ではありません。いかにSaaSをうまく活用できるかが企業のDX化推進のキモと言えます。

ネガティブな面

ネガティブな面を示す図

一方でネガティブな面は大きく3つあると考えています。

1つ目は選択肢が急激に増えたことです。ツールを選ぶ場面と言えば、以前はビックカメラなどの量販店でパッケージソフトを買いに行き、「会計と言えばこれかこれ」「販売管理と言えばこれとこれ」という程度で済むほど選択肢が少ない時代でした。しかし、今ではカテゴリーごとの比較サイトがいくつも台頭するほどツールの選択肢が膨大に増えました。そのため、自社に合うたった一つを見つける難易度は劇的に上がりました。

2つ目は流通経路の変化です。量販店で店頭スタッフから購入するという経路から、ベンダーから直接購入になりました。自社の売上に直結するベンダー社員ですから頑張って営業してくるようになります。言い方は悪いですが、期待値をあげて売り込んでくることもあるでしょう。導入する際に1社の情報だけで決めることはないでしょうから、複数社から情報をもらうことになると、選定担当者が考慮すべき情報量は格段に増えます。

3つ目はツール利用者の増加による定着難易度の向上です。特定の人が使うソフトウェアから、CRMや人事システム、勤怠管理のように一般社員が使う機会と利用者の人数が格段に増えました。そのため使い方に関するルールを定め、利用が定着するように努めないとなりません。社員に業務の一部として組み込んでもらうことの難易度は非常に高いものです。

以上、日本企業によくある『部分最適の罠』が起こる理由、そしてその背景についてご説明しました。それでは、自社に最適なツール選定・導入・定着の難易度が上がっている中、どのように全体最適、営業DXを進めていけば良いかについては後編にてご紹介します。

後編:全体最適で考える恩恵と成功のポイント

豊富な連携機能を最大限活用するならご相談を!

CRMサポートセンター

Zoho CRMはGoogleの主要サービスをはじめとして、Dropbox、Google Driveなどとの連携をサポートしています。連携方法はAPIやCSV、Zohoの連携メニューやZoho Marketplaceなどツールによってさまざまです。

簡単に操作ができるのも魅力の一つですが、自社で使っているツールはどこまで連携できるのか、またそれぞれの連携方法に応じて対応するならやはりコンサルティングパートナーにご相談いただくのが一番です。

弊社は外部連携についても実績豊富に対応しております。

CRMサポートセンターのZohoCRMの導入支援内容を是非御覧ください。

せっかく導入したツールの効果を最大化するために、貴社のご支援ができれば嬉しいです。

本記事の監修

株式会社etika代表取締役 宮村佳祐

株式会社etika 代表取締役

宮村佳祐

https://www.crmsupportcenter.com/company-profile

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