2026年7月23日、司法書士法人・行政書士法人アクティス様と株式会社etikaの共催で、無料オンラインセミナー**「業務効率化と売上アップのためのAI活用・DX実践例をご紹介」**を開催しました。
第1部はアクティスの多伊良 宗平 氏が、士業実務の現場で進める「AIドリブンな組織運営」の実践を、第2部は当社代表の宮村が、九州の中小企業3社(製造業・電気制御業・不動産仲介業)の事例をもとに、AI・CRMで売上を最大化する仕組みづくりをお話しした60分です。本記事ではその内容をレポートします。
開催概要
- セミナー名: 業務効率化と売上アップのためのAI活用・DX実践例をご紹介
- 日時: 2026年7月23日(木)15:00〜16:00
- 形式: オンライン(Zoom)・参加費無料
- 共催: 司法書士法人・行政書士法人アクティス様 / 株式会社etika
- 登壇: アクティス 多伊良 宗平 氏 / 株式会社etika 宮村 佳祐
第1部:士業実務のAI活用 — 「AIドリブンな組織運営」への舵切り(アクティス様)
アクティス様は、司法書士法人・行政書士法人の運営に加え、外国人技能実習生の受け入れ支援を手がける士業グループです。福岡2拠点・鹿児島1拠点、司法書士2名・行政書士有資格者5名、スタッフ数25〜30名の体制で、外国人スタッフも一緒にAI活用に取り組んでいるのが特徴です。
判断軸は2つだけ——「売上を伸ばすか、経費を削減するか」
多伊良氏がまず示したのは、AI活用の明確な判断軸です。
AIが企業経営で役立つことは、「売上を伸ばす」か「経費を削減する(業務効率化)」かの2つだけだと考えています。今やっている業務がこのどちらに当てはまるのかを必ず意識させて、全員で効率化に取り組んでいます。
AIは何でもできるからこそ、この2つに該当しない使い方(イラスト生成など)は「会社として認めない」と線を引く。目的から逆算する運用ルールが、浪費を防ぐ土台になっているとのことでした。
ボトムアップでは浸透しない——トップダウンへの切り替え
導入の歩みも率直に共有いただきました。ChatGPTの個人利用から始まり、有料プランを配布しても「各個人がただ使っているだけ」で組織には浸透しなかったそうです。転機は2つ。
- データ基盤の整備 — Google Workspaceを導入し、CRMとGoogleドライブに「どこにデータを溜めるか」を決めて運用
- ボトムアップからトップダウンへ — 経営トップ自らが一番AIを触り、リーダーとともに「AI推進室」を組成。組織の課題を自動化し、自動化できた業務は「それ以外のやり方でしてはいけない」ルールに
経営陣にとってAI活用は重要度も緊急度も高い。しかし現場のスタッフにとっては、目の前の書類作成のほうが優先で、AIは「重要でも緊急でもない」。見ているところが根本的に違うので、スタッフ任せでは浸透しないんです。
この優先度のギャップの整理は、参加者の多くに刺さるポイントだったのではないでしょうか。
KPIの再定義——「規模」ではなく「質」を追う
AIの登場を受けて、同グループは10年ビジョンを「九州を代表する士業グループ」から**「最強で最高の専門家集団」に再定義。100名で10億円という規模目標を、40名で10億円へ、一人当たり生産性は1,500万円から3,000万円**へと引き上げ、平均年収も500万円から700万円を目指す計画に切り替えたそうです。
AIが来る前は「10年後に一人当たり1,500万円」と言っていた生産性を、現場の管理者が「2〜3年後に達成できるイメージがあります」と言うようになりました。労働集約型のビジネスモデルこそ、AIを使いこなすことが一番の勝ち筋だと考えています。
直近の目標として、2026年12月までに書類作成業務の7割を自動化することを掲げ、繰り返し業務の棚卸しと自動化を一つずつ進めているとのことです。
具体的な自動化事例——「ちょっとした面倒くさい」を潰す
当日は実際の活用事例が次々と紹介されました。
- AIニュースの自動配信 — 毎朝8時にAIが最新ニュースを3つピックアップしてGoogle Chatに投稿
- 勉強会からのnote記事自動生成 — 隔週の社内事例共有会をMeetで文字起こしし、終了後1時間ほどでAIがnote記事を5〜6本自動作成。オリジナルの一次情報をもとにするため、記事の独自性も担保できる
- LPの内製化 — 外注なら20〜30万円・工期1〜1.5ヶ月かかるランディングページを、AI活用で約3時間・約6,000円で制作。修正も早く、社内でPDCAを高速に回せる
- 実務文書の自動化 — 相続相談のメモからレポートを自動作成。提案書・スライド修正もAIが担当
- リマインドの自動化 — 週次の入力依頼などの定期アナウンスをAIに任せ、担当者の役割を廃止
- 業務依頼書ジェネレーター — 契約書類の作成を1件5〜10分から1分に短縮。月50件で約400分の削減に。外国人スタッフが自ら開発
人間がやっていることは、ほぼほぼAIでできます。AIはポイントで使うのではなく、業務フローを線で任せる状態で使うのが一番効率的です。
構築の際にはIT導入補助金・中小企業省力化投資補助金・ものづくり補助金などを組み合わせた成長支援も可能とのことで、この点は当社の開発支援とアクティス様の申請支援を連携してご提案できる体制になっています。
第2部:九州の中小企業3社のリアルな実践 — AI・CRMで売上を最大化する(etika)
第2部では、当社がご支援している九州の中小企業3社の実例をもとに、「売上アップ」に焦点を当ててお話ししました。
土台となる考え方は、**売上 = パイプライン量(商談の数)× 受注率 × LTV(1社あたりの継続売上)**という3つの掛け算です。AI・DXの施策は「どの変数を動かすのか」を決めてから着手する——本日の3社は、それぞれ違う変数から着手した事例です。

事例1:製造業(熱産ヒート様)— CRMを「営業のツール」で終わらせず、業務の背骨にする
北九州市戸畑区の熱産ヒート株式会社様は、業務用ヒーターなど熱関連機器の製造を手がける企業です。Webサイトからの問い合わせ獲得、獲得した見込み客の受注管理に加え、ISO9001で求められる帳票管理をZoho CRM上にデジタル実装しました。
- 営業案件・製造案件をカンバン形式で管理し、「どの取引先のどの案件が、いま提案中か・製造中か」を営業・製造・設計の部門横断で共有
- ISO管理に必要な帳票・指標をCRMに記録し、必要な帳票はPDF形式で出力。紙とExcelの二重管理を一掃
- 効率化で生まれた余力を営業リソースに転化し、売上が上がる仕組みへ
業務効率化と案件管理が軌道に乗り始めたことで、現在は「Webからの引き合いをもっと増やしたい」という次の段階——パイプライン量を増やす施策のご提案に進んでいます。同社のISO×CRMの取り組みは前回のセミナーレポートでも詳しくご紹介しています。
事例2:電気制御業(ICS SAKABE様)— 検索・AIからの集客と、その先のプロセスをセットで
北九州市小倉北区の有限会社 ICS SAKABE様は、電気制御設備の設計・製作と、産業用ロボットの特別教育を展開しています。当社は「Webから引き合いを取る」ことと「取りこぼさず受注につなげる」ことを一貫してご支援しています。
集客面では、キーワード調査・既存ページのSEOリライト・計測体制の構築という施策を積み重ねた結果、「産業用ロボット特別教育」の講習申込数が施策前の4倍以上に増加。Googleの検索結果に加え、AIによる回答(AIオーバービューなど)やChatGPTに質問した場合にも同社のコンテンツが参照・案内される状態を、日々実測しながら維持・改善しています。

当日は実際の検索画面のデモも実施しました。「福岡で産業用ロボットの特別教育を受けたい。おすすめは?」という長文検索で同社が引用として表示される様子や、講習の空き枠にそのまま申し込める予約ページ、申し込みが自動でCRMのカンバンに入り、入金確認から来場まで管理される流れをご覧いただきました(実装の詳細はこちらの事例記事へ)。
さらに今年の取り組みとして、サーチコンソール(検索データ)× Googleアナリティクス(サイト行動)× CRM(顧客・商談)をAIエージェントで横断分析するアプローチをご紹介しました。

この分析から「福岡からの申込は十分取り込めている一方、大分や山口など他エリアの検索ユーザーがランディングページ上で離脱している可能性が高い」ことが見えてきて、エリア別LPの制作という次の打ち手につながっています。単一ツールの数値を眺めるだけでは辿り着けない施策が、データを横断してAIに分析させることで見えてくる好例です。
事例3:不動産仲介業(福岡の不動産仲介会社A社様)— 営業活動をAI×CRMに集約する
3社目は、福岡の不動産仲介会社A社様(匿名でのご紹介)です。受注率の改善をテーマに、営業活動のデータをCRMに集約し、AIで改善を回す仕組みを構築しています。
まず入口となるのが、ポータルサイトの反響メールのAI取り込みです。外部メディアからの反響情報はメールでしか受け取れないケースが多いのですが、メール本文をAIが構文解析し、見込み客としてCRMに自動登録します。

従来は媒体ごとに25種類以上の専用プログラムが必要で変更に弱かったところを、AI構文解析でプロンプト1本に統合。試算では1通あたり約0.6円(月1,000通で約600円)と、専用ツールに比べて大幅に安価に実現できています。
さらに、営業担当者とお客様の電話・メール・SMS・チャットのやり取りをすべてCRMに蓄積し、AIが取引先の状況を端的なテキストにサマライズ。個別の履歴を一つずつ確認しなくても、その取引がどういう状況かを把握できるようにしています。
そして現在構築中なのが、AIで商談トークを磨く仕組みです。

営業マネージャーや社長が考える「受注できる商談トーク」を教師データとしてAIに読み込ませ、営業担当者の商談の文字起こしと突き合わせて、AIが改善点をフィードバックする——将来的には実際の受注結果とも紐付けて、教師データ自体をブラッシュアップしていく構想です。
データが溜まるほど、AI分析は強くなる
セミナーの終盤では、CRMに蓄積したデータをAIエージェントに接続した分析デモをご覧いただきました。「案件のリードソースごとの受注傾向をまとめてください」とプロンプトを投げると、AIがCRMの案件データを読み取り、Webサイト経由・展示会経由といったリードソース別の傾向をほぼリアルタイムで返してきます。
「次は展示会に出すべきか、Webを強化すべきか」といった営業施策の仮説検証が、BIツールでピボットを組まなくても、データに基づいて即座にできる——CRMという一つのデータベースに商談・見積・活動のデータを集約しておくことが、AI時代の分析基盤としてそのまま効いてくるというお話をさせていただきました。
なお、当社自身もこの考え方を自社実践しています。当サイトともう一つの自社サイトはAIを活用してフルリニューアルし、2サイトを約1週間で再構築、ランニング費用も大幅に下げました。検索やAIから見つけてもらうための備えを、自社でもお客様とも進めています。
まとめ:明日・今週・今月の、はじめの一歩
セミナーの締めくくりには、参加企業の皆様が明日から動き出せる「はじめの一歩」をお伝えしました。

- 明日: 問い合わせ・反響の経路を1つ棚卸しする(どこから来て、どこに記録しているか)
- 今週: 記録先をCRMに一本化し、必ず入れる項目(担当・状況・次アクション)を決める
- 今月: 1経路だけ自動で取り込み、週次で数字を振り返る。慣れたらAI分析を足す
順番はどこからでも構いません。大事なのは、顧客とのやり取りをデータとして貯め、AIに分析させ、次の一手に活かすループを持つこと。第1部の「売上を伸ばすか、経費を削減するか」という判断軸と合わせて、AI・DXを「便利そう」で終わらせず成果につなげる観点をお持ち帰りいただけたなら幸いです。
無料相談
「検索・AIからの集客」「CRMでの案件管理」「AIを使った業務自動化」——自社ならどこから着手すべきかを、30分で一緒に整理します。CRMなどのツール導入には補助金のご利用も可能で、申請はアクティス様と連携してスムーズにご支援できます。
営業DX・AI活用を無料で相談するよくある質問(FAQ)
Q1. AI活用は何から始めればよいですか?
まず「売上を伸ばす」か「経費を削減する(業務効率化)」のどちらに効く業務かを見極めることをおすすめします。そのうえで、問い合わせ・反響の経路を1つ棚卸しし、記録先をCRMに一本化して、1経路だけ自動取り込みを試す——という小さなステップから始めるのが、本セミナーでお伝えした進め方です。
Q2. AIツールを導入しても社内に定着しません。どうすればよいですか?
経営陣と現場ではAIに対する優先度が根本的に違うため、ボトムアップだけでは浸透しにくいというのが第1部の知見です。経営層が自らAIを触り、トップダウンで推進体制を作ること、そして自動化した業務は「それ以外のやり方でしない」とルール化することが定着の鍵になります。
Q3. CRMとAIを組み合わせると何ができますか?
ポータル反響メールの自動取り込み、電話・メールのやり取りのサマライズ、リードソース別の受注傾向分析、商談トークの改善フィードバックなどが実例としてあります。商談・見積・活動のデータをCRMに集約しておくほど、AIによる仮説検証・分析の精度と幅が広がります。
Q4. 導入に補助金は使えますか?
はい。CRMなどのツール導入・システム構築にはIT導入補助金や中小企業省力化投資補助金、新サービス開発にはものづくり補助金などを組み合わせられるケースがあります。当社の開発支援と、共催のアクティス様による申請支援を連携してご提案可能ですので、まずは無料相談でお聞かせください。
無料相談・無料診断のご案内
当社では、本セミナーでご紹介したような「接点づくり(検索・AI対策)→受注(CRMでのプロセス管理)→データ蓄積とAI分析」の仕組みづくりを、Zoho認定パートナーとして伴走支援しています。
「自社の最初の一手はどこか」——まずは現状の整理から始めてみませんか。




