2026年7月9日、北九州・小倉で開催された西日本DX推進EXPOのテクニカルセミナーとして、**「北九州のDX実践企業にきく!『Zoho』で実践するDXと今後の展望」**を開催しました(開催告知はこちら)。

ゲストは、北九州のものづくり現場でZoho CRMを実際に使い込んでいる2社の経営者。熱産ヒート株式会社 代表取締役社長 川口 千恵子 氏と、有限会社 ICS SAKABE 代表取締役 坂部 好則 氏をお迎えし、当社代表の宮村がモデレーターを務めました。定員40名のリアル開催で、「ISO業務をCRMでデジタル化した話」から「検索・AI経由の集客で講習申込が4倍以上になった話」まで、実践企業の生の声をお届けした30分となりました。本記事ではその内容をレポートします。

開催概要

  • セミナー名: 北九州のDX実践企業にきく!「Zoho」で実践するDXと今後の展望
  • 日時: 2026年7月9日(木)16:15〜16:45
  • 会場: 西日本DX推進EXPO テクニカルセミナー会場(北九州市小倉北区)
  • 形式: リアル開催・定員40名
  • 登壇: 熱産ヒート株式会社 川口 千恵子 氏 / 有限会社 ICS SAKABE 坂部 好則 氏 / 株式会社etika 宮村 佳祐(モデレーター)

なぜ「現場で使い込んでいる企業」の話なのか

冒頭では、営業DXに取り組む中堅・中小企業の典型的な3つの課題を共有しました。

  1. 属人化から抜け出せない — 顧客や商談の情報が営業担当者の頭の中にしかない
  2. ツールを入れても現場に定着しない — 「ITツールを導入したけど使えなかった」という経験
  3. AI活用にどこから手を付けるべきか分からない — AIの波にどう対応するか

この課題への答えを、ベンダーの機能説明ではなく**「現場で使い込んでいる企業」の実践から学ぶ**のが本セミナーの趣旨です。

前提として、Zoho CRMについても簡単にご紹介しました。Zoho CRMとは、世界で1億人を超えるユーザーを持つ統合ビジネスツール群「Zoho」の中核となるCRM/SFAです。商談や製造工程をカンバン方式でフェーズ管理し、取引先ごとに履歴を蓄積、メール配信・問い合わせフォーム連携・データ分析まで拡張できます。宮村自身がSalesforceユーザー出身であることも踏まえ、「コストを大きく抑えながらほぼ同等のことができる、地方の中堅・中小企業にとって最有力の選択肢」として位置づけていることをお伝えしました。

Part 1:熱産ヒート株式会社 — ISO業務をZoho CRMで一気通貫に

熱産ヒート株式会社(北九州市戸畑区・1975年創業)は、熱処理工事、高周波誘導加熱装置などの装置機器、工業炉の設計・施工・補修を手がける「熱処理のファーストコール・カンパニー」を目指す研究開発型企業です(公式サイト)。

同社のZoho活用は3段階で進んできました。

  1. 見込み客情報のフォーム取り込み — Webサイトの引き合いフォームからCRMへ自動登録
  2. 営業案件管理・メール配信 — 案件の進捗管理とフォロー配信
  3. ISO対応帳票のCRM実装 — 今年度、etikaが伴走支援(これから本格運用)

「小さく始めて拡張できる」が選定の決め手

川口社長は、2019年頃にZoho CRMを選定した理由を次のように語ってくださいました。

いろいろなツールを探していた中で、小さく始めたかった。価格が安価で自由度が高く、スモールスタートの後にどんどん拡張していけると最初に知ることができた。もともと社内で使っていたツールとの親和性が高く、移行がしやすかったことも決め手でした。

ISO業務の紙・Excel運用をCRMに置き換える

今年度の大きなチャレンジが、ISOで定義された業務プロセスをZoho CRM上で管理する取り組みです。従来はExcelや紙の帳票が主軸だったところを、見積段階から受注後の製造プロセスまで、CRMの中でデータを管理し、承認・確認フローを回し、履歴を残して次の工程へ引き継ぐ、という一連の流れを実装しました。

ISO対応帳票を「業務フロー」としてZoho CRMに組み込む取り組み。案件を起点に入力・ISO帳票のCRM化・承認通知の自動化・技術品証への接続・履歴の引き継ぎという5ステップで管理する(当日の登壇スライドより)

  • ISOの文書番号・発行日・連絡内容をCRMに記録し、編集履歴がすべて残る
  • 情報が取引先ベースで整理され、後からの振り返り・一覧確認がしやすい
  • 承認プロセス機能で「現場が入力→上司が承認」の履歴を保存
  • スマートフォン・外出先からも閲覧・申請承認が可能

川口社長は、この取り組みの狙いをこう話します。

うちはものづくり会社で、ISOの仕組みの中で製造プロセスが常に動いています。Zohoは自分たちが現場で使っている用語をそのまま項目や帳票に組み込めるので、信頼性が高いと感じました。バラバラになっていた情報が一元管理されると、リピートのご注文への対応や、担当者が変わったときにも履歴を活かせる。トレーサビリティも取りやすくなります。

ISO運用に求められる「記録・履歴・承認」とCRMの相性の良さは、製造業のDXにおける大きな発見ではないでしょうか。

次のテーマは「AI・検索から見つけてもらう」

川口社長は、今後の課題として集客面にも言及されました。

新規案件のほとんどがホームページからのお問い合わせです。充実したホームページを作っているつもりでしたが、分析してもらうとまだまだ点数が低い。最近はAIチャットで調べる方が増えているので、そこにきちんと乗っからないと、うちの会社を見つけてもらえない。営業マンが数人しかいない会社なので、多くのお客様に知っていただくには、そういう力を使わないと難しいと考えています。

「紹介とご縁だけでなく、検索とAIから『見つけてもらう』時代へ」——この課題意識が、そのままPart 2のICS SAKABE様の実践につながります。

Part 2:有限会社 ICS SAKABE — 検索・AI対策で講習申込が4倍以上に

有限会社 ICS SAKABE(北九州市小倉北区・2004年創業)は、電気制御設備の設計・製作・工事・保守を手がけ、「ロボットセンター小倉」で産業用ロボットの活用支援や安全特別教育も展開しています(公式サイト)。

etikaの伴走支援は3ステップで進んできました。

  1. Zoho CRM導入支援 — 案件・見積・工事履歴を一元管理
  2. 検索エンジン・AIからの集客支援 — SEO対策で「産業用ロボット特別教育」の講習申込が施策前の4倍以上
  3. 増えた申込への業務効率化 — 申込〜入金〜当日対応をCRMで一気通貫(実装の詳細はこちらの事例記事へ

広告では反応がなかった集客が、検索対策で変わった

坂部社長は、施策前の状況を率直に語ってくださいました。

当社はもともと営業マンがいない会社で、営業行為がなかなかうまくできませんでした。ロボットの特別教育について、過去にいろいろな媒体に広告を出してみたこともありますが、出したから増えるというものではなく、ほぼ反応がない状況でした。

そこで取り組んだのが、ターゲットキーワードの選定 → ページのSEOリライト → 成果計測体制の構築という王道のSEO施策です。どのキーワードで流入して申し込みに至ったのか、経路はGoogleか、Yahoo!か、ChatGPTかまで分析して改善を続けます。

「産業用ロボット特別教育」のSEO対策成果。キーワード調査・SEOリライト・計測体制の構築により、講習申込数が施策前の4倍以上に(当日の登壇スライドより)

自分たちは頑張っているつもりでも、キーワードを決めてターゲットが誰なのかを、ちゃんと分かっていなかったんです。「よく検索されているキーワードはこれですよね」と的確に捉えてもらえるので、効果がすごく早かったと思います。(坂部社長)

セミナー当日は、実際に「福岡県 産業用ロボット特別教育」とGoogleで検索し、検索結果上部のAIモードの回答にロボットセンター小倉のコンテンツが参考リンクとして表示される様子を会場でご覧いただきました。ChatGPTなどのAIチャットで調べた場合にも同社の情報が案内される状態を、日々実測しながら維持・改善しています。

申込が4倍になったら、業務も変えないと回らない

集客の成功は、次の課題を連れてきます。申込が増えた結果、電話での受付対応や日程調整が追いつかなくなったのです。

電話で受付対応をしていたら、日程調整がままならない。そうなると「事務員を増やすか」という話になりがちですが、それはちょっと違うよねと。窓口を全部Webに一本化する提案を包括的にしてもらい、実現できたのが非常に良かった。Zohoのサポートというより、Web全体・デジタル全体のサポートで活躍していただいています。(坂部社長)

具体的には、次のような仕組みをZoho CRMで実装しました。

  • 空き枠のみ申込可能な日程予約 — 受講者が先に日程を選んでから申し込むフローに変更
  • カンバンビューでのステータス管理 — 支払済み・未払い・キャンセル・来場をカードの移動で管理。新規申込は自動で左端にカードが生成
  • 人を増やさず、仕組みで解決 — 集客増に事務負荷の増加が比例しない体制へ

ICS SAKABE様の申込者管理画面(カンバンビュー)。費用請求・受講票発行・来場済・キャンセルのステータス列ごとに申込者カードを管理し、列を見れば申込状況が分かる。個人情報・機密情報はモザイク加工済み(当日の登壇スライドより)

「集客と業務効率化はセットで成果になる」——これがICS SAKABE様の事例の最大の学びです。今年はさらに申込を増やすべく、検索キーワードのリサーチを深め、別の角度で探している見込み客をサイトへ迎える施策を進めています。

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まとめ:セミナーの持ち帰り3つ

30分のセミナーを通じてお伝えした、お持ち帰りいただきたいポイントは次の3つです。

  1. 接点づくり→受注→納品の3プロセスをDX・AI活用で最適化する — 熱処理×電気制御という業種の異なる2社の実践例が示すとおり、部分最適ではなくプロセス全体で捉える
  2. 「CRM」ツールでできる可視化と業務の定型化 — 商談も製造工程もISO帳票も、取りこぼし・漏れを防ぎながら組織の共有財産にできる。Zoho CRMならコストパフォーマンス良く現場に定着させやすい
  3. AI時代の“ニッチ”PR・認知獲得戦略 — 発注先探しをAIに相談する時代に、自社がきちんと見つかり推薦してもらえる導線を設計する。北九州の現場企業がすでに成果を出し始めている

その土台にあるのは、**売上 = パイプライン量 × 受注率 × LTV(顧客生涯価値)**という考え方です。検索・AI対策で入口の総量を増やし、CRMのプロセス管理で取りこぼしを防ぎ、取引履歴を振り返れる状態にして追加提案につなげる。この掛け算を仕組みとして整えることが、営業DXの本質だとあらためて確認できるセミナーとなりました。

また今後の展望として、営業トークや電話・ヒアリング内容を録音・文字起こしし、AIで構造化してCRMの顧客データに紐づける取り組みも当社で実証を進めています。生成AIと業務システムの組み合わせについては、前回のセミナーレポートもあわせてご覧ください。

よくある質問(FAQ)

Q1. Zoho CRMは製造業でも活用できますか?

活用できます。本セミナーで紹介した2社はいずれも北九州の製造・技術系企業です。商談管理だけでなく、製造工程のフェーズ管理、ISO対応の帳票・承認フロー、研修の予約・入金管理まで、現場の用語をそのまま項目や帳票に組み込みながら実装できます。

Q2. ISOの帳票や承認フローを本当にCRM上でデジタル化できますか?

可能です。熱産ヒート様の事例では、ISOの文書番号・発行日・記録内容をZoho CRMで管理し、編集履歴の保存、承認プロセス、取引先ベースの一覧化までを実装しました。Excel・紙帳票の運用と比べ、トレーサビリティの確保と担当交代時の引き継ぎが大きく改善します。

Q3. AI検索対策(AIO/GEO)とは、具体的に何をするのですか?

ターゲットキーワードの選定、検索意図に対応したサイト・ページの設計、そして流入経路(Google・Yahoo!・ChatGPTなど)と申込到達の計測体制の構築が基本です。ICS SAKABE様の事例では、この積み重ねにより講習申込が施策前の4倍以上になり、検索結果のAIモードで参考リンクとして紹介される状態を実測で確認しています。

Q4. 自社の状況を診断してもらうことはできますか?

はい。社名とWebサイトのURLをお知らせいただくだけで、Webからの問い合わせのしやすさ・CRM活用度・AI検索での見つかりやすさなどを分析した無料診断をご提供しています。お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。

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当社では、本セミナーでご紹介したような「接点づくり(検索・AI対策)→受注(CRMでのプロセス管理)→納品・継続取引(履歴活用)」の全体最適を、Zoho認定パートナーとして伴走支援しています。

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